「露地植え」
購入した大苗や模様替えなどの移植は、先月に続いて今月も適期です。新しい土に初めてバラを植える方は問題ないのですが、長い間バラを植えていた場所に古くなったバラを抜き、そのまま別のバラを植えると育ちが悪くなります。原因については諸説ありますが、バラの生育にとって不都合な微生物が増えているのが主因のようです。例えば古い土を焼いて再使用すると新土と変わらない生育をするそうです。また大量の熱水を通しても同様の結果を示します。いずれも微生物が減少するからでしょう。微量要素の減少ではないかとの説もありますが、微量要素は簡単に減少するものではないことは、焼土や熱水の例が証明しています。ただし、これらの処理は大きな設備がないとできないことです。‘新土に勝るものなし’と言われるように、土をそっくり取り替えるのがベターですが、大変な費用がかかり現実的ではありません。
生涯同じ場所でバラづくりを続けるにはどうすればよいか、土が古くなってもあきらめずに栽培を続けるための決定打はありませんが、できれば植え穴だけでも新しい土に替えてください。しかし、これも簡単ではありません。直径、深さとも50センチの植え穴には、およそ100リットルの土が必要です。残土の処理だけでも大変です。次善の策として、根周りだけでも新土を20〜40リットルほど入れたいものです。多いほどよいのははっきりしています。そのほか、ポリトタンを丸くして植え穴に入れ、隣接株の根の浸入を防いだり、高植えにして省力化するなどいろいろな工夫があります。放線菌堆肥などの良性微生物を投入して悪性菌を駆除する方法などもありますが、まだ実例が少なく確実性が乏しいようです。もし庭が広い人は、掘り出した古土を4〜5年積んで置くと、悪性微生物も減少し再度使えるようです。もっと広い庭で全部移植可能なら、そっくり移植して、古い庭はバラを植えないで4〜5年経てばかなりよみがえります。でも、そんな恵まれた人はごくまれでしょう。尚、植え穴に土を入れる場合大切なことは、なるべく同じ性質の土を入れることです。水はけや水持ちなどが違うと、新土と旧土の境目で水分や乾燥度が異なり、地中でトラブルが起こりやすいものです。
若いうちは体力があるので、植え穴を掘るのも苦にならないものですが、年をとると重労働になります。これまで新しい苗を植えるときは、直径、深さとも50センチの穴を掘り、下半分に肥料を入れるのが定説でした。しかもこの肥料は植え込む時だけ行うので、‘バラ一生の肥料だと思え’などといかがわしい格言がまかり通っています。しかし、ちょっと考えれば分かることですが、25センチ下の肥料がいつまでもあるわけがありません。暖地では腐敗することはないようですが、北海道などの寒冷地では腐敗して悪影響を与えることが多いようです。バラの根は確かにかなり深く入ります。特に最初に出来る主根は太く真っすぐに伸び、長いものでは1メートルを越えます。ただし、地下水位が低く(地下水が深い)土壌の構造も酸素が豊富なバラにとって最適な条件の場合であって、50センチも掘ると水が出てくるような地下水位が高い(地下水が浅い)土地だと、水分が多すぎて酸素がないのでそれ以上地下には伸びて行きません。岩盤のように堅い土地でも当然伸びません。庭全体が岩盤で掘れない場合は、50センチほどの高さに客土するのがよいでしょう。
主根から分かれて発生する養水分を吸収する側根は、白根とも呼ばれています。この細い根は、酸素の少ない地中の深いところまでは、あまり入りません。それは白根自身が酸素を吸いながら生長するからです。堆肥などの有機物が豊富で団粒化が進んだ土壌でも、せいぜい50センチほどで、普通は地表から30センチまでの範囲で活動しています。長々と書きましたが、極端に地下水位が高く、40〜50センチ掘ると水が出てくるような土地は排水対策が必要ですが、普通の土地なら深さ40〜50センチほどの穴を掘り、牛糞や堆肥を十分混ぜればよいと思います。その穴も最初は25センチ掘り、後半分は穴底で土をほぐしながら堆肥類を混ぜれば作業が楽です。穴の下半分に肥料を入れる必要はなく、植えつけ後地表面に撒き、軽く土と混ぜ合わせればOKです。植え穴の深さは白根(側根)の活動を中心に考えてください。尚、牛糞や堆肥も肥料ですが、成分が少ないので、土壌改良材と考えてください。
「鉢植え」
12月に続いて今月も植え替えや購入株の植えつけの適期です。今月は最も寒い季節なので、北側の鉢物は何日も凍りついたままのこともありますが、それで枯れることはありません。ただ、植え替えの時に凍ったまま行うと、根が千切れて具合が悪いので、南側の暖かい所に移動して解凍してから植え替えます。
鉢植えで最も大切なのは、水保ちと水はけです。必要な水は保持するが不要な水は保有しないことです。限られた容器の中で如何に根を張らせるかがポイントです。根がよく伸びるためには空気(主として酸素)が十分必要です。空気が十分存在する空間と根が吸収できる水がたっぷりあることがよい条件です。土にも水は含まれていますが、バラにはほとんど吸えません。鉢の培養土は日本独特の盆栽を通じて、色々な土に、腐葉土、堆肥などを植物に応じて混ぜ合わせて使用する方法が、伝統的に続いています。土壌を構成する固体、液体、気体の三つの部分を固相、液相、気相といいます。固相とは簡単に言えば土のことです。液相とは土壌の中の水で、植物に供給可能な水のことです。また、気相とは土壌内の空気のことで、根に酸素を供給する役割のものです。土が多過ぎると固相が多くなって液相や気相が少なくなり、腐葉土や堆肥、ピートモスなどの有機物が増えると、気相や液相が多くなります。
限られた量で栽培する鉢植えの培養土は、露地植え以上に注意深く、固相・液相・気相のバランスを考慮してブレンドするわけです。一般的には固相率45〜50%、液相率および気相率20〜30%がよいといわれています。しかし、あまりこだわらないでください。基本的には赤玉小粒と有機物(腐葉土・牛糞・堆肥・ピートモス・バーミキュライト・ココナッツチップ・パーライト)の割合が6:4程度です。もちろん5:5や4:5の配合もあるでしょう。あまり液相(水分)が多い配合だといつも湿っていて酸素不足のため、根が下に伸びにくく、表面近くに集中したり、ひどい時は枯れることもあります。鉢底に大粒の赤玉土を入れて水はけをよくするのも、液相が多い時です。バラの場合はかなり水が多くても根腐れしないので、基本配合なら底土は不要です。
最近はマンションでバラ栽培をしている方が増えてきました。ところが鉢替えの残土の処理で困っています。地域によって土はゴミとして運んでくれない所があるのだそうです。そこで土を全く使わず、ピートモス・バーミキュライト・パーライトなどの有機質のみで培養土を作っている方も出てきました。生長具合もまずまずだそうですが、この場合有機物を微生物が分解する時、チッソを消費するため、チッソ不足になることがあるので注意してください。また微量要素不足になることもあります。最近は販売用の鉢物に土を使わない培養土が出回っています。
いずれにしても、鉢植えの用土には肥料を混ぜないでください。狭い鉢内でバラの根が直接水に溶けた濃い肥料に接すると、根焼けやしおれの原因になり枯れることもあります。野菜の漬物を作る時、野菜に塩をかけると塩分が野菜の中に入り、野菜の水分が浸出するのと同じ原理です。
10号鉢以上の大きな鉢は2〜3年に一度のこともありますが、原則的には毎年植え替えが基本です。順調に育っていれば根がいっぱい張って根鉢を作り、そのまま植え替えないと、やがて根詰まりを起こし根が窒息して、生育不良やひどい時は枯れることもあります。10号鉢以上の場合は土の量がかなり多くなるので、シャベルなどで上の部分の土だけを取り除き、新しい培養土を継ぎ足しでもよいでしょう。
植え替え前に鉢土をやや乾き気味にしておくと土が落ちやすく、根をあまり傷めずに植え替えできます。植わっていた土は全部落とし、黒くなって弱った根は切除し、健全な根も1/3〜1/2に切り詰めます。地上部の枝も古い枝は切り捨て、良枝を1/3ほど切り詰めます。尚、バラの根は乾燥に弱いので、土を落としてからすぐ植え替えられない時は、水に漬けておきます。植え込んだらすぐたっぷり水をかけてください。植え替えのとき、根を水で洗う人もいますが、鉢数が多いと大変です。洗わなくても支障はありません。
植え替えと同時に本剪定をしてもよいのではないか、との意見もありますが、暖地では早々と新芽が伸び出し、ブラインド枝(花が咲かない枝)が多かったりして切り戻すことが多いので、避けたほうが無難です。
植え替え後の肥料は与えないでください。まだ吸収能力がほとんどありません。2月頃から置肥で育てます。尚、ミニバラも同じような方法でよいのですが、枝や根はもう少し大胆に切り詰めてもよいでしょう。
| 用土の配合例(容積比) |
| A |
赤玉土6:腐葉土4 |
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| B |
赤玉土6:牛糞2:腐葉土2 |
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| C |
赤玉土5:バーミキュライト2:ピートモス2:堆肥1 |
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| D |
ピートモス4:バーミキュライト3:パーライト3 |
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