財団法人 日本ばら会
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月々のお手入れ

・・・・・・・ 12 月 の お 手 入 れ の ポ イ ン ト ・・・・・・・
1. 植え替え・植えつけ  露地植えも鉢替えも12月が適期
2. 冬の元肥  有機質肥料をたっぷり・鉢はまだ不要
3. 害虫駆除  カイガラムシはブラシで落とす
4. 潅水  冬でも乾いていたら水やり
5. 品種紹介  濃赤色3種



1. 植え替え・植えつけ

 

 このホームページの内容は、関東以西のバラの手入れについて書いているので、東北地方や北海道などの寒冷地でバラを栽培している方には、細部のことになると、あまり参考にならないかも知れませんが、基本的な事はお伝えできるのではないかと思っています。分からないことがありましたら、(財)日本ばら会にお尋ねください。(財)日本ばら会には各地に支部がありますから、例えば北海道の方なら、北海道のベテラン会員を紹介します。

  バラは北海道では既に雪の下で冬眠していますが、12月になっても関東以西の地域では、まだ葉が青々として懸命に光合成を行い、根元に栄養分を送り続け、来春の開花に備えています。

 今年は夏の暑さが厳しかったので、バラの樹もダメージを受けました。よほど熱心なバラ作り以外は、ひどいクロホシ病に侵され、落葉して気息奄々のバラがほとんどでした。先月にも述べましたが、バラの樹が丸ハダカになっても、新しい枝が伸び、葉が茂ってきたら、その葉をクロホシ病から守り、少しでも光合成産物を根元に送る努力をしてください。

 来春の芽出しは、根元や太い根に蓄えられた栄養分によってまかなわれ、芽出し後、葉が展開してくると、初めて光合成を行うようになり、普通の葉の半分ほどの大きさになると、光合成はピークに達します。その後は細根(白根)から供給されるチッソ、リンサン、カリなどの肥料成分を使って、葉で栄養分を作り、自らの枝葉を伸ばしていきます。

 そのような理由で、葉を大切にすることの重要性を述べたのですが、実際には新しく出た葉も、すぐクロホシ病に取りつかれ、治まらないことの方が多いものです。そんな時は、栄養分の貯蔵よりもクロホシ病の方が怖いので、すべての葉を取り除いてください。

 12月も半ばを過ぎるとそろそろ休眠期に入ります。しかし、バラの休眠期は思いのほか短く、12月中旬〜1月下旬までの1ヶ月半ほどです。地上の芽はまだ眠り続けていますが、地中の根は2月に入ると白根が伸び出し、芽出しの準備を始めます。

 大苗の植え替えや、購入苗の植えつけ、鉢物の植え替えなどは、休眠期を利用して行うのがベターです。それは、休眠期なら根をかなり切っても大丈夫だし、発芽までには十分回復するからです。実際にはこの時期より遅れることがしばしばですが、2月いっぱいぐらいならほとんど支障はありません。3月に入っても可能ですが、春花への多少の悪影響は避けられません。遅くなればなるほど、せっかく伸び出した白根(肥料成分を吸収する大切な根です)を傷めるので、その分回復が遅れるわけです。

 鉢物は毎年植え替えが原則です。10号鉢以上なら2〜3年ごとでもよいのですが、要は鉢内に根がいっぱいになっているか否かです。試しに鉢からバラの株を抜いてみてください。根が十分張っているか、あまり張っていないかが分かります。分かりにくかったら土を振るい落としてみればよく分かります。根が少なければ簡単に土が落ちます。そんな状態なら植え替えずにそのまま1年間育ててください。竹の棒や菜箸などで根をほぐさなければならなかったり、根をハサミで切らなければならないほどになっている株は、植え替えないと、春の花は咲いてもその後の生長が悪くなります。

 各地の講習会などでよくある質問ですが、鉢植えのバラを買って4〜5年経っているが、最初は沢山咲いたのに、その後はさっぱり咲きませんが、どうしてでしょうか、と真剣な面持ちです。多分、根詰まりですよ。鉢の中がバラの根ばかりになって、水も空気も入りにくく、やっと生きている状態なので、肥料を吸収できず、花の咲く力が無くなっているのです。

 12月になったら、株を引き抜いてください。根ばかりになっていたら、ハサミを入れて半分以上切り詰めて植え替えれば解決します。判で押したような答えに、こちらが忘れたころ喜びの声が届くことがあると、こちらも嬉しさ倍増です。

 最近4,5年コガネムシ類が鉢土に産卵し、土中のサナギが根を食べつくして、バラの樹を枯らす被害が増えています。この被害を防ぐ意味で大鉢も根を調べるために鉢から抜いてみることをお奨めします。10号鉢に幼虫が20匹も入っていてびっくりしたことがあります。

※大苗や鉢植えの植え方については「育て方アドバイス」をご参照ください。

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2. 冬の元肥

 

 前述の植え替え・植えつけの適期は、冬の元肥の適期でもあります。この時期は多少根を切っても支障がないので、ほとんどの永年作物に冬の元肥を施します。基本的には、根元から30〜40センチほど離して円周状に牛糞や堆肥、腐葉土などを1株当たり2〜3リットルほどと、有機質の発酵済み肥料を700g〜1Kg ぐらい撒き、フォークやスコップなどで軽く表土と混ぜ合わせます。根元ではなく、30〜40センチ離すのは、その辺に肥料成分を吸収する白根が多いからです。もっとも、30〜40センチ離せない密植のこともあります。この辺は臨機応変に対処してください。根周りを20〜30センチほど掘り、その溝の中に肥料や堆肥類を入れて、土を被せる方法が主流ですが、密植の庭では大変な作業です。結果的にも大差ないので、省力法をお奨めします。堆肥類は土をふかふかにし、大切な団粒化に役立ちます。また肥料分を適当に保持し、必要に応じて植物に供給する優れものです。

 肥料成分は、一般的にはチッソ:リンサン:カリが1:3:1と言われていますが、あまりこだわる必要はありません。入手しやすいものを使ってください。堆肥類が面倒な方は“ゼオライト(商品名ミリオンなど)”を使う方法もあります。ゼオライトはNa、Ca、Si、K、Alなどからなる含水ケイ酸塩鉱物で、沸石とも言われます。粉末や小粒状にして散布します。保肥力が大きく、肥料分の補給や酸性中和効果もあります。関東地方のようなリンサン固定力の大きな火山灰土壌で、施用リンサンの肥効を高めます。坪当たり2Kgほど入れてみてください。また、長い間型通りの肥料だけでは不足する肥料成分も出てきます。硫酸マグネシウムを500g/坪(葉緑素の元になる成分)、消石灰を1Kg/坪(ペーハー調整)施肥したり、長い間バラを栽培し続けている方は、各種微量要素を含んでいる、ハイグリーンなどを1Kg/坪ほど撒いてみてください。何となく元気のなかったバラが、少しは変わってくるでしょう。

 鉢植えのバラは、植え替えが終わってもまだ肥料は与えません。

 尚、以前は(15年以上前)油カスや骨粉などの有機質肥料は生の肥料を使っていました。したがって元肥として施肥しても、冬を越えて地温が上昇しないと発酵しないので、実際に効いてくるのは3月頃でした。土中発酵させていた訳です。近頃は生の肥料は少なく、ほとんどの方が発酵済み肥料を使っているので、元肥を入れる時期は2月末から3月上旬でよいのではないかと思います。私はそうしていますが、納得できた方は試してみてください。

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3. 害虫駆除

 休眠期のバラは、寒さに備えて葉を落とし、芽も堅く締まっているので、シーズン中は使えない濃厚薬剤のチャンスです。高濃度による薬害はほとんどありません。病原菌は活性を失っていますが、害虫はぬくぬくと休眠しています。農薬取締法改正で、バラに登録のない石灰硫黄合剤は使えなくなりました。マシン油乳剤だけは使えるので、30倍液を散布するとかなり効果があります。マシン油はカイガラムシやハダニの体につき、窒息死させます。一般農薬の濃度を上げて使用するのも違反になるので、使わないでください。カイガラムシはブラシで落とすのも有効です。


 <薬剤調合例:水1リットル当たり>
 マシン油乳剤 33ml  30倍(カイガラムシ・ハダニ)


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4. 潅水

 

 バラは水が大好きです。裏返してみると太根が少なく、乾燥に弱い植物です。冬でも水やりに注意してください。雨が少ない冬期は、地中の水分が上昇し、深い部分が乾いてきます。基本的に水分を吸収する直根は、思いのほか水分不足になり、水分が届きにくい枝先から枯れ込むこともあります。地表面が乾いたと思ったら、なるべく暖かそうな日を選んで午前中に水やりしましょう。夕方に潅水すると、夜間表土近くが凍結することがあります。ただし凍結したから枯れるとか弱ることなどはありませんから、乾きがひどかったら構わず潅水してください。特に鉢植えなどは乾燥には極端に弱いので注意しましょう。鉢が凍っても枯れることはありません。

 文責・成田光雄

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5. 品種紹介(濃赤色3種)

 

@パパ・メイアン(HT種)

1963年/フランス/A.Meilland/花径15cm/樹高1.5m/剣弁高芯/四季咲き

 濃い、というより黒みがかった赤色のバラで、時に黒バラと言われることもあります。ベルベット状に黒く光る花びらが見事な剣弁高芯に開き、顔を寄せると酔うような香りがあります。まさにバラの王者の風格、非の打ちようがありません。1988年に世界バラ会連合の殿堂入りを果たした名花です。

 

Aつる:クリストファー・ストーン(ClHT種)

1942年/アメリカ/Marsh's Nursery/花径12cm/樹高3.0m/カップ咲き/返り咲き

 濃い赤色のHT種として古くから知られたクリストファー・ストーンの枝変わりです。もとのHT種はすでに影をひそめてしまいましたが、つる性になったこのバラは生育旺盛で、弁質厚く香りのよい花をたくさんつけます。早咲き種で春には他のバラに先駆けてビロード状の光沢のある花を咲かせます。

 

Bラーバグルート(FL種)

1978年/ドイツ/Kordes/花径5cm/樹高0.8m/椿咲き/四季咲き

 艶のあるビロードのような、濃赤色のやや小振りの花を房咲きにつけます。花形は八重のぽんぽん咲きのようで花もちがよく、木は半横張りでよく茂りますが、あまり大きくはなりません。丈夫で育てやすいバラで、外国では高く評価されているそうです。

 

 文責」・岡田淳

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